【お茶室の掛け軸 茶掛けの魅力】禅語「一念通天(いちねんつうてん)」  

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禅語

2022年10月  茶室の茶掛け

一念通天(いちねんつうてん)

秋色が深まるお山には常緑樹の柚子が葉の間から鮮黄色に輝く実をのぞかせています。

柚子は生食には向きませんが、果皮が放つ強い香気を用いて日本料理の香味料として、また果汁は果実酢として捨てるところなく利用されています。

また柚子湯は果皮に含まれる精油成分が皮膚を刺激し、血行を促す作用があることを日本人は知っていました。

私たちは祖先が培ってきた深い知恵を今日まで引き継ぎ、柚子の「生命」をより良く生かすように努めてきました。

禅語に「一念通天」がございます。どんなことも、ひたすら信じて念じ続ければ、必ず天に念いが通じて願いが叶えられる、との意味で、「成し遂げるには固い決意で取り組むことが大切である」という教えの言葉です。

人生に立ち向かっている方々に、時として難症や苦難が待ち受けます。

天に願う念いも湧いてでしょう。例えば、病を治す主役は病む人自身が持つ生命力です。この生命力は治癒力とも呼ばれ、あらゆる生物が備えています。

生命力を旺盛にして痔疾を治し、全身を健康に導きます。今こそ迷いを捨て、この生命をより良くするには「心身一如」の前向きな姿勢と考え方が必要です。

「なんとしてもこの難局を乗り切り、生きる歓びを克ち取ろう」との一念を強くお持ちください。

天地父母より与えられた一度限りの人生。「生命を生かす」ことの尊さを心に刻み、人生に邁進ください。一日も早い苦難解決を達成され、豊穣の秋をご堪能なさいますよう祈念申し上げます。

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