痔で悩む女性はたくさんいらっしゃいます。持病持ちの方に、どんな症状を経験したのか、お話を語っていただきました。
Aさん
「痔を自覚したのは二十八歳の頃で、豆粒ほどのイボがありました。排便のたびに脱出して痛みましたが、出血はわずかで、さほど辛いとも感じません。症状が出ると、薬局で市販薬を買い求めて一時しのぎを繰り返しました。
それでも、お産のたびに痔の症状は進み、三十歳代半ばから正座さえままならなくなりました。子育てにも追われる日々でしたが、数年して夫が病気で先立ってしまったのです。その心労も重なってか悪化し、日常生活でも常にお尻を意識しないではいられません。
悪いことは重なります。婦人科の病気で手術を受けることになってしまいました。術後は無事に日常生活に復帰できましたが、心労が積み重なり、痔はとことん悪化します。排便時には出血で便器を汚し、鋭い痛みで脱出もひどく、恐る恐る探ってみると、大小のイボ。自分の肛門ながら見るのも不気味でおぞましいものでした。
そのうえ、腰が冷えて重怠く、耳鳴りや肩こりにも悩まされるようになりました」
不運が重なり、お尻だけではなく、耳鳴りや肩こりなど全身に病気が蔓延してしまうのですね。
Bさん
「私は二十代の時から便が硬く、排便時に肛門が切れて出血することがたびたびありました。そして四十代も半ばのある日、突然肛門の周りが腫れて熱をもち、痛みを感じるようになりました。その痛みは日増しに強くなるばかりで、市販の痔薬を購入して使用したところ、大分楽になり、その後は、市販薬に頼ってきました。この病気は一時的に楽になった時、症状が進んでいるのだということを後になって知ることになるのです。
しばらくすると肛門の腫れが大きくなり、シコリのようなものができて終日痛みが続き、市販薬を使っても痛みがとれなくなってしまいました。そればかりかシコリの一部に小さな孔ができ、悪臭のする分泌物がしみ出してくるようにもなりました。孔は塞がったと思うとまたできるという状態を繰り返し、痛みも次第に酷くなり、同時にかゆみがでてくるようになりました。痛みとかゆさで夜も眠れない状態が続きました。
下着も分泌物で汚れ、不快感も募り、会社では長時間座っていることができず、肛門周辺部が気になって仕事に集中することができません。このままでは働けなくなってしまうのではないかと大変不安になりました。さらに病状が進んだためか、排便がとてもつらくなってきました。便意があっても我慢するようになり、ひどい便秘に襲われるのですが、今度は腹部の不快感が伴うので、逆に排便しなくてはと焦って、排便の苦痛は更に酷くなる一方です。毎日イライラして過ごしておりました」
日常生活にも影響を及ぼす大変お辛い経験談です。
Cさん
「若い頃から、食も細く便秘がちで、市販の便秘薬だけが頼りでした。きっとその頃から痔疾は進んでいたのだと思います。
四十歳目前に痔は本性を顕しました。ある日、一気に痔の症状が現れました。肛門から粘膜が花びらのようにせり出し、イボが出来て出血を伴うようになりました。歩くこともままならぬ状態で、市販の座薬で治療すればどうにか症状は治まりましたが、すぐ逆戻りして脱出です。排便のたびに焼け付くような痛みで、トイレが怖くて便意を我慢すれば、さらに便は固くなってお腹が張るといった悪循環です。事務の仕事も、腰を浮かせているような有様です。もちろん、家事も満足に出来ず、ただ情けなく途方に暮れていました」。
お仕事中に満足に座れないなんて・・・本当におつらそうです。
Dさん
「地元の信用金庫に勤め、元気に働いていたのですが、いつしか便秘気味になったのです。勤務中に席を外してトイレに行くと、同僚に迷惑をかけるので、つい休憩時間まで我慢していました。そんな辛抱を続けたのがよくなかったのでしょう。さらに、夏場の店内の冷房が効き過ぎて冷えや肩こりにも悩まされていました。
ある日の朝、しばらく便通がなかったので時間をかけて思い切りきばっていました。すると、硬い便が飛び出したその瞬間、肛門にピリッとした痛みを覚えたのです。その時は、我慢していると、いつの間にか痛みはなくなったのです。そんなこともあり、しばらくたつと痛みが出なくなるかな、と思っていましたが、痔はそんな生やさしい病ではありませんでした。
排便時には決まったように激しい痛みが起こるようになってきました。取りあえず、薬局へ行きますと、「肛門裂傷でしょう」といわれ、座薬を勧められました。挿入するといくらか痛みは和らぐのですが、しばらくすると痛みはぶり返します。その後結婚して年月がたったある日のこと、排便時に肛門が切れた途端、焼け火箸が突き刺さったような痛みが広がったのです。脂汗を流しながらその場にうずくまりました。もう仕事どころではありません。仕事は辞めざるを得なくなりました。
手術も考えましたが、体にメスを入れる気にはなりません。さらに小学生の頃からの痔です。不治の病だと、もう諦めていたのかもしれません」
不治の病とまで思えるほど、痔は怖い病気です。