【女性に多い痔の悩み】相談しづらい痔のお悩み トイレ、入浴、ストレス、ナポレオン

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便意とどう付き合う

痔でお悩みの方は、便意とうまくつきあえるのかが鍵になります。便意を感じにくい便秘症の方や、排便が怖いと感じている方もおられるでしょう。仕事や生活習慣の中で便意を感じた時、すぐにトイレに行くことができない方も多いと思います。我慢することが重なると排便のタイミングを逃してしまい、直腸から脳への刺激が起こらなくなってしまいます。これでは自分での排便コントロールはできません。

トイレに行きやすい時間に便意が起きるよう習慣づければいいのです。「朝起きたら排便」が一番簡単です。寝起きは休んでいた腸が動き始め、食べ物を食べていなくとも弱い刺激が起こります。朝起きられたら、コップ一杯の冷たい水を飲みます。すると腸が活発に動き始め大脳に刺激が伝わります。そこで便意を感じたらすぐトイレに行くのです。これを繰り返すと次第に体が覚えて、水を飲まなくても排便ができるようになります。最初からうまくいかない場合もあるかもしれませんが、便意がなくてもトイレに行く習慣をつければ、改善しやすくなります。ただトイレに入っても、無理にいきまないように注意しましょう。また、排便できなかったとしても三分程度でトイレから出るよう心掛けてください。

どう使う、温水洗浄便座

今や日本人の生活に欠かせないものの一つに温水洗浄便座があります。お尻を清潔に保つという点からは、素晴らしいものです。ただ使い方を間違えると、痔疾悪化の原因になってしまいますので要注意です。

まずは水圧です。清潔にするために強くし過ぎると、肛門への刺激が強すぎて負担をかけてしまいますので水圧は優しめにしていただくことが大切です。また、使用時間も考えていただかなくてはなりません。人間の皮膚にはウイルスや細菌などに対してバリアになる常在菌が存在しています。長い時間使用すれば、常在菌は流されてしまい肛門に負担をかけてしまいます。さらに温度調整も重要です。お湯が冷たかったりすると、肛門の血行が悪くなり、痔の症状を悪化させてしまいます。水温はぬるま湯程度が最適です。

便秘の際、温水で肛門を刺激して排便を促すという方もおいでです。通常、便が肛門付近に集まると神経が反応して自然に便意が訪れます。この役割を温水に頼ろうというものです。温水の刺激が日常化すると、自然な便意がやってこない恐れもあり、当然便秘は悪化してしまいます。
お尻はたいへんデリケートです。温水洗浄便座は正しくご使用ください。

ぬるめの湯にゆっくりと入浴

痔疾症状にとって入浴は、温熱・圧刺激を受けることにより、血管やリンパ管に作用し血液の循環を活発にするので、非常に大切な養生のひとつです。毎日就寝前、四十~四十二度の温めのお湯にゆっくり浸かると副交感神経が刺激され、精神の緊張がほぐれ筋肉が緩み、熟睡につながります。入浴中は、できるだけ肛門に湯があたるように股を開き加減にして、肛門を温めながら緊張をほぐすよう心掛けてください。
日本式のお風呂はじんわりよく温まるという長所があります。湯舟に入って体を温め、汗を流し出してから体を洗います。湯舟に数回浸かって自然に毛穴を広げてからアカを取るのが最良の入浴法です。こうしたことからも、欧米のようにシャワーで済ませるよりは、日本式のほうが優れています。浴室から出るときには、風呂の湯より一~二度低めの湯をかぶると湯冷めはしにくいものです。湯冷めして、体を冷やしてしまい、体調を崩されることのないようご注意ください。
入浴できない場合、タライにお湯を入れてお尻をつける座浴だけでも効果があります。座浴されることで、肛門部は常に清潔に保たれ、周囲の血液循環を良好にして、細菌の繁殖を防ぎます。
また、硫黄の成分を含んだ温泉や、その他の薬湯は避けて、いわゆる白湯が最も好ましい入浴の条件です。

ストレス解消には睡眠が一番

現代はストレス社会と言われていますが、ストレスは痔疾の原因になるばかりか、症状を悪化させますので要注意です。ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、便秘や下痢の原因となり、免疫力も低下します。肛門は排便により菌が多く存在している場所です。そのため免疫力が低下すると菌に感染、炎症を引き起こし、肛門周辺の鬱血に繋がり痔を悪化させてしまいます。ストレスは極力溜めないよう、日々の養生にお務めください。

ストレスを解消するもっとも手軽な方法は良質な睡眠です。どんなに頑強な人でも過労は激しいストレスになります。過労を癒やし、諸機能を安らかに鎮静するためにも睡眠が必要です。十分な睡眠を取ることで、低下した免疫力を高めることが解っています。また、自然の摂理に逆らわないよう早寝早起きや、適度な運動、食後の休憩などといった、ゆったりとした生活を心掛けられ、緊張を解きほぐされる時間を生み出していただくことが大切です。また、就寝前の入浴も効果的です。



こころも安らぐ上質なバスタイム。ティールズエプソムソルト

日常生活では神経を苛立たせることも多く、ストレスを全く感じないなどという人はほとんどいらっしゃらないでしょう。健康を守り、痔を悪化させないためにも、ストレスの原因を把握することが大切です。趣味などのなにか好きなこと、熱中できるものに費やす時間を確保して気分転換をはかられ、ストレスを軽減するよう努めましょう。

あの有名人も悩んでいた

歴史上の人物も痔には悩みました。最も有名なのはナポレオン・ボナパルト。ワーテルローの戦いでは、決定的な勝機がありながら敗北しています。「ワーテルローの謎」といわれていますが、緒戦では勝利して、攻めに入るはずが、何の命令も発せず痔の痛みに耐えていたとされています。ナポレオンが痔で悩まなければ、世界の歴史は変わっていたかもしれません。
夏目漱石は痔ろうで、二度の手術を受けています。その経験は最後の未完の小説「明暗」にも書かれます。日記にも多くの痔の記述がありますが、もっとも有名なのは「僕の手術は乃木大将の自殺と同じくらいの苦しみあるもの」でしょうか。
芭蕉も持病の胆石と痔疾には悩みました。知人や門弟に多くの手紙を書いていますが、この持病に関する記述で、かなりのストレスだっただろうと想像できます。
江戸時代の最高の医学者の一人で、「蘭学事始」を著した杉田玄白ですが、晩年には便秘と脱肛に苦しんでいます。当時としては長寿で八十五歳の生涯でした。亡くなる一年前、「耄耋独語」を著しますが、その中で「便毎に脱肛し、座ることもままならないので、湯で蒸し温めている」と、老年の身体状況を冷静に見つめています。